薄いグリップでフォアハンドを打つメリット・デメリット14選

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フォアハンドのグリップは、薄ければコントロールが良く、厚ければスピンがかかる——。よく聞く説明ですが、実際はそれほど単純ではありません。

グリップの向きが変われば、打ちやすい打点、ラケット面の作り方、得意な軌道まで変わります。大切なのは「どちらが正解か」ではなく、自分が打ちたいボールや苦手な状況と合っているかです。

この記事では、テニス歴・コーチ歴20年以上の経験をもとに、薄いグリップでフォアハンドを打つメリット7つと、デメリット・注意点7つを整理します。

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この記事でいう「薄いグリップ」とは

ここでいう「薄い」は、グリップサイズが細いという意味ではありません。ラケット面に対する手の向きを指し、コンチネンタルからイースタン寄りの握りを扱います。

現代のフォアハンドで現実的に使いやすいのは、主にイースタン寄りです。コンチネンタルでフォアハンドを打つこともできますが、面の管理が難しく、向くプレースタイルも限られます。本記事ではイースタンを中心に、必要な場面ではコンチネンタルも含めて説明します。

先に結論を言うと、薄いグリップは「低い打点・フラット系の球・早いタイミング・ネットへの移行」と相性がよく、「高い打点・強いトップスピン・高く弾む球」には注意が必要です。

薄いグリップで打つ7つのメリット

1.低い打点を処理しやすい

薄いグリップは、低い位置でもラケット面を自然に立てやすいのが強みです。膝より下に沈むボールや、短く低いボールに対して、手首や前腕を無理にねじらず面を合わせられます。

低い打点が多い人、低く滑るスライスへの対応に苦労している人には、大きな利点です。

2.フラット〜ドライブ系のボールを打ちやすい

ラケット面をボールの後ろに合わせやすいため、前方向へ押し出す感覚を作りやすくなります。強い回転で持ち上げるより、やや直線的な軌道でコースを狙いたい人に向いています。

ただし「薄いグリップなら必ずコントロールが良くなる」わけではありません。面の向きと打点が安定して、初めてコントロールにつながります。

3.ライジングやリターンで準備を小さくしやすい

速いボールに対して大きく振れない場面でも、短い準備で面を作りやすい握りです。バウンド直後を捉えるライジングや、サーブの勢いを利用するリターンでは、この扱いやすさが助けになります。

4.体から少し遠いボールにも届かせやすい

厚いグリップに比べると、打点を体の近くへ引きつけたり、やや後ろで合わせたりする余地があります。追い込まれた場面や、完全には入り切れなかったボールを返すときに対応範囲が広がります。

もっとも、毎回遅れた打点で打ってよいという意味ではありません。あくまで守備時の許容範囲が比較的広い、という捉え方が適切です。

5.スライスやブロックショットへ移行しやすい

薄い握りは、ラケット面を開いてスライスを打つ動きと相性がよく、相手の速いボールを面で受けるブロックもしやすくなります。攻撃一辺倒ではなく、球種やテンポを変えたい人には便利です。

6.ボレーへのグリップチェンジが小さくて済む

ストロークのあとにネットへ出る場合、コンチネンタルに近い握りほどボレーへの持ち替えが小さくなります。アプローチからファーストボレーまで時間がない場面では、準備の速さにつながります。

ただし、すべてのショットを完全なワングリップで打つことを目標にする必要はありません。必要な範囲で小さく持ち替える方が、各ショットの良さを出しやすくなります。

7.低く速く弾むコートや展開に合わせやすい

バウンドが低く、考える時間が短い状況では、低い打点への強さとコンパクトな準備が生きます。速いサーフェスだけでなく、相手がテンポを上げてくるラリーでも使いやすい特徴です。

薄いグリップの7つのデメリット・注意点

1.肩より高い打点を強く打ちにくい

打点が高くなるほど、薄いグリップではラケット面をかぶせにくくなります。無理に強打すると面が開いてアウトしたり、逆に手首で面を伏せてネットしたりしやすくなります。

2.強いトップスピンを作りにくい

トップスピンは薄いグリップでもかけられます。ただし、厚いグリップほどラケットヘッドを下から上へ動かしながら面を安定させやすくはありません。高い弾道と強い回転を主武器にしたい人には不利になりやすい部分です。

3.ネットの上を通す余裕が小さくなりやすい

フラット寄りの軌道は速さを出しやすい反面、ネットの高い位置を安全に通し、回転でコートへ落とす余裕が小さくなります。調子が悪い日や守勢のラリーでは、ミスの幅が狭くなることがあります。

4.振り上げ方によっては面が開きやすい

厚いグリップと同じ感覚で急激に振り上げると、インパクトで面が上を向き、ボールが長くなりがちです。グリップだけ薄くしてスイングを変えないと、かえって不安定になります。

5.高く弾む重いトップスピンに押し込まれやすい

相手のボールが肩口まで跳ねると、薄いグリップの苦手な打点で何度も打たされます。後ろへ下がって打点を落とすか、早いタイミングで処理するかを選べないと、ラリーの主導権を失いやすくなります。

6.コンチネンタルでのフォアハンドは難易度が高い

薄いグリップの中でも、コンチネンタルは面が開きやすく、現代的なフォアハンドを安定して打つには高い面感覚が必要です。「薄い方が楽そう」という理由だけで極端に薄くすると、飛距離と回転の両方を失うことがあります。

7.ワングリップにこだわるとフォアハンドの可能性を狭める

持ち替えが少ないのはメリットですが、「変えなくて済む」と「変えない方がよい」は別です。ボレーと同じ握りに固定することで、フォアハンドの打点や回転量を必要以上に制限してしまう場合があります。

薄いグリップが向いている人

  • 低い打点や滑るボールを処理することが多い人
  • フラット〜ドライブ系の球でコースを狙いたい人
  • ライジングやコンパクトなリターンを使いたい人
  • アプローチからネットへ移るオールコート型の人
  • ラケット面の向きを感じながらボールを運ぶ感覚がある人

薄いグリップが合いにくい人

  • 肩より高い打点から積極的に攻撃したい人
  • 高い弾道と強いトップスピンをラリーの軸にしたい人
  • 高く弾むボールを下がらずに処理することが多い人
  • 大きく振り上げるスイングで安心感を得ている人

当てはまったからといって、すぐにグリップを変える必要はありません。体格、スイング、得意な打点、プレースタイルを合わせて判断することが大切です。

自分に合っているかを確認する4つのテスト

  1. 低いボール:膝より下の打点で、無理なく深さを出せるか
  2. 高いボール:肩付近の打点で、面を崩さずコースを狙えるか
  3. 速いボール:準備が遅れたときも、コンパクトに返球できるか
  4. ネットへの移行:アプローチ後、ボレーの握りへ迷わず切り替えられるか

低い球と速い展開では安定するのに、高い球だけ極端に崩れるなら、薄いグリップの長所と短所がそのまま出ている可能性があります。反対に、高い球と回転系のラリーが安定するなら、もう少し厚い握りの方が合うかもしれません。

グリップを変えるなら、数ミリずつ試す

グリップ変更は、いきなり大きく一面分回す必要はありません。まずは数ミリずつ動かし、球出し、ラリー、ポイント練習の順で試してください。

見るべきなのは、たまたま入った一球ではなく、打点の取りやすさ、弾道、ミスの方向、次の一球への戻りやすさです。プロ選手と同じ名称のグリップでも、手の大きさや握る位置によって実際の面の向きは変わります。

また、グリップの角を感じやすくすると、同じ握りを再現しやすくなります。レザーグリップの硬さや角の出方が気になる方は、レザーグリップの特徴と向いている人を解説した記事も参考にしてください。

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まとめ|薄いグリップは「低さと速さ」に強い

薄いグリップは、低い打点、フラット系のボール、ライジング、スライス、ネットへの移行で強みを発揮します。一方、高い打点、強いトップスピン、高く弾むボールへの対応には工夫が必要です。

グリップはプレースタイルを一方的に決めるものではありません。ただし、打ちやすい打点や選びやすい球種には確実に影響します。常識や選手の真似だけで決めず、自分が実際によく打つ高さと、目指したいボールから考えてみてください。

経験と理屈、ときどき感性。最後はコートで試し、再現できる握りを選ぶことが答えです。

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