厚いグリップは、トップスピンや高い打点を武器にしやすい握り方です。一方で、低いボールや時間を奪われた場面では扱いにくさが出ます。
つまり、厚いグリップは「強い・弱い」ではなく、得意な打点と苦手な打点がはっきりしているグリップです。今の握り方が自分のプレースタイルに合っているか、12の特徴から確認してみてください。
※この記事でいう「厚いグリップ」は、グリップサイズやテープの厚さではありません。ラケット面に対して手のひらが下側へ回り込む、ウエスタングリップ寄りの「握り方」を指します。呼び方や境界は指導者によって多少異なります。
| 得意になりやすいこと | 難しくなりやすいこと |
|---|---|
| 高い打点、トップスピン、回転による深さと角度 | 低い打点、遠いボール、速く滑るボール、早い打点 |
厚いグリップのメリット5つ
1.高い打点を強く打ちやすい
腰より高いボールでは、ラケット面を安定させながら前へ振り抜きやすくなります。高く弾むボールを下がって落とすだけでなく、高い位置で攻撃したい人には大きな利点です。
2.トップスピンをかけやすい
厚いグリップは、ラケットヘッドを打点より下から上へ動かすスイングと相性が良く、回転量を出しやすい握り方です。ただし、握るだけで回転がかかるわけではなく、打点とスイング軌道が合っていることが前提です。
3.ネットの上を高く通して深さを出しやすい
トップスピンを使えると、ネットの上に余裕を持たせながら、ベースライン付近へ落としやすくなります。低く速い球だけに頼らず、回転と高さで安定感を作れるのが強みです。
4.回転で角度をつけやすい
ボールを強く前へ飛ばすだけでなく、回転量を増やして短いクロスや逆クロスへ落とす選択がしやすくなります。コートの外へ相手を動かしたい場面で使いやすい特徴です。
5.高く弾む球や遅めの展開と相性が良い
ボールが高く弾み、スイングする時間を確保しやすい状況では長所が出やすくなります。反対に、同じコートでも相手が時間を奪ってくると、難しさは増します。
厚いグリップのデメリット7つ
1.低いボールを持ち上げにくい
打点が低くなるほど、ラケット面を自然にボールの下へ入れるのが難しくなります。膝を使って打点を確保できないと、ネットミスが増えやすくなります。
2.身体から遠いボールへのリーチが短くなりやすい
腕を伸ばしただけでは面を合わせにくいため、薄いグリップよりも身体を打点の近くへ運ぶ必要があります。横へ振られた場面では、フットワークの差がそのまま出ます。
3.打点が遅れると面を作りにくい
身体の横や後ろまでボールを引きつけると、ラケット面が下を向きやすくなります。準備が遅れた守備場面では、無理に振らず高さを使って返す判断も必要です。
4.速く滑るボールに合わせにくい
低く滑ってくるスライスや速いサーブでは、十分なスイング時間を作れません。コンパクトに面を合わせる技術がないと、厚いグリップの長所を出す前に時間を奪われます。
5.ライジングは難度が上がる
上がり際のボールを早い打点で処理するには、準備とタイミングの精度が必要です。厚いグリップでも打てますが、余裕のある打点より難しくなるのは避けられません。
6.ネットプレーへの切り替えが複雑になりやすい
ストロークの厚いグリップから、サーブやボレーで使うコンチネンタルグリップへ大きく握り替える必要があります。ダブルスで頻繁にネットへ出る人は、握り替えの速さも確認しましょう。
7.フットワークと体力を求められる
得意な打点へ入るために細かく足を動かし、毎回ある程度のスイングをする必要があります。足が止まると長所が消え、デメリットだけが出やすくなります。
厚いグリップが向いている人
- ベースラインからトップスピンを使って組み立てたい人
- 高い打点から攻撃するのが得意な人
- 打点まで細かく足を運べる人
- 回転量で深さや角度を変えたい人
厚くしすぎないほうがよい可能性がある人
- 低い打点やライジングで打つことが多い人
- ダブルス中心で、リターンダッシュやネットプレーを多用する人
- 準備が遅れ、打点が身体の横や後ろになりやすい人
- スイングより面を合わせて返すプレーが多い人
もちろん、当てはまったから使えないという意味ではありません。自分が試合で多く打つボールと、握り方の相性を確認するための目安です。
グリップを変えるときの確認方法
いきなり大きく変えると、良い変化と悪い変化を区別できません。まずは現在の位置から少しだけ厚く、または薄くし、次のボールを同じ練習で比べてください。
- 腰の高さの通常球
- 肩付近の高いボール
- 膝より低いボール
- 身体から遠い守備のボール
- ライジングや速いリターン
強く打てた一球だけで決めず、何が打ちやすくなり、何が間に合わなくなったかを見ます。ジュニアの場合も、プロ選手の形だけを真似して固定するのではなく、体格やプレースタイルの変化を見ながら調整することが大切です。
テニス・コーチ歴20年以上、指導経験2,000人以上の中で見てきたのは、グリップを変えると得意な球だけでなく「間に合わない球」も変わるということです。厚いほど回転が増える、薄いほど器用になる、と単純には決められません。
まとめ|グリップはプレースタイルとの相性で決める
厚いグリップは、トップスピン、高い打点、回転を使った攻撃を武器にしやすい握り方です。その代わり、低い打点、遠いボール、速い展開では難しさが出ます。
「厚いグリップが正解か」ではなく、自分が取りたい打点と、試合で選びたいプレーに合っているかで判断してください。



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