テニスラケットを長く持つ・短く持つメリットとデメリット

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テニスのグリップというと、イースタンやウエスタンなど「手の向き」に注目しがちです。しかし、ラケットをどの位置で持つかでも、打ちやすさはかなり変わります。

長く持てば飛ぶ。短く持てばコントロールが良くなる。大まかな傾向はありますが、これも絶対ではありません。長く持って振り遅れれば威力は落ちますし、短く持って速く振れれば十分に強いボールを打てます。

この記事では、テニス歴・コーチ歴20年以上、指導経験2,000人以上の経験をもとに、ラケットを長く持つ・短く持つメリットとデメリット、ショット別の考え方、自分に合う位置の見つけ方を整理します。

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  1. 結論|長く持つか短く持つかは「振り切れる範囲」で決める
  2. 持つ位置を変えると何が変わるのか
  3. ラケットを長く持つ4つのメリット
    1. 1.届く範囲が広くなる
    2. 2.ヘッドスピードを高められる可能性がある
    3. 3.サーブやスマッシュの打点を高くできる
    4. 4.大きなスイングの勢いをボールへ伝えやすい
  4. ラケットを長く持つ4つのデメリット
    1. 1.動かし始めと方向修正が難しくなる
    2. 2.速いボールに振り遅れやすい
    3. 3.芯を外したときにラケットを支えにくい
    4. 4.極端に長く持つと支えが不安定になる
  5. ラケットを短く持つ4つのメリット
    1. 1.ラケットを操作しやすい
    2. 2.コンパクトなスイングを作りやすい
    3. 3.面の向きを安定させやすい
    4. 4.重いラケットを扱いやすくできる
  6. ラケットを短く持つ4つのデメリット
    1. 1.リーチが短くなる
    2. 2.ヘッドスピードの上限を下げる可能性がある
    3. 3.打点が身体に近くなりやすい
    4. 4.両手バックでは握る場所が窮屈になることがある
  7. ショット別のおすすめ位置
  8. 自分に合う位置を見つける10分テスト
  9. 持つ位置とグリップの太さは別の問題
  10. よくある質問
    1. 初心者は短く持った方がいいですか?
    2. 長く持てばサーブは速くなりますか?
    3. 試合中に持つ位置を変えてもいいですか?
  11. あわせて読みたい関連記事
  12. まとめ|基準は「長さ」ではなく、再現できるか

結論|長く持つか短く持つかは「振り切れる範囲」で決める

比較項目長く持つ短く持つ
リーチ広くなりやすい狭くなりやすい
ヘッドスピード高められる可能性がある振りやすさで補いやすい
操作性やや難しくなる高くなりやすい
時間を奪われた場面準備の速さが必要合わせやすい
向きやすい場面サーブ、スマッシュ、大きく振れるストロークリターン、ボレー、守備、コンパクトなストローク

基本は、手全体がグリップに収まり、バットキャップのふくらみを小指側で感じられる位置です。そこから数ミリずつ動かし、振りやすさと打球の質が両立する場所を探すのが失敗しにくい方法です。

持つ位置を変えると何が変わるのか

短く持つと、手からラケットヘッドまでの実質的な距離が短くなります。そのぶん、ラケットを動かし始めたり、途中で方向を修正したり、止めたりしやすくなる傾向があります。同じラケットでも「軽く感じる」人が多いのはこのためです。

反対に長く持つと、手からラケットヘッドまでの距離が伸びます。同じ速さで回転させられれば、ラケットヘッドの移動速度とリーチを高められます。ただし、動かしにくさも増えるため、長く持つだけでボールが速くなるわけではありません。

つまり、長く持つか短く持つかは「パワーかコントロールか」という二択ではなく、ラケットの長さをどこまで無理なく扱えるかという問題です。

ラケットを長く持つ4つのメリット

1.届く範囲が広くなる

長く持つ最も分かりやすい利点はリーチです。横へ振られたストローク、頭上のスマッシュ、遠いボレーなどで、あと数センチが届くかどうかは大きな差になります。

ただし、届いた後に面を安定させられなければ意味はありません。リーチの広さと、遠い位置でラケットを支える力はセットで考えます。

2.ヘッドスピードを高められる可能性がある

同じ角度を同じ時間で振れるなら、回転の中心から遠いラケットヘッドほど速く動きます。サーブやフォアハンドで、長く持つ選手が多い理由の一つです。

一方、長く持ったことでスイングそのものが遅くなれば、この利点は消えます。「長く持った方が飛ぶ」ではなく、長く持った状態でも振り切れる人は飛ばしやすいと考える方が正確です。

3.サーブやスマッシュの打点を高くできる

上方向へのリーチが増えるため、サーブやスマッシュでは高い打点を取りやすくなります。高い位置で捉えられれば、サービスボックスへ入る角度や、スマッシュを打ち下ろせる範囲にも余裕が生まれます。

4.大きなスイングの勢いをボールへ伝えやすい

準備する時間があり、身体全体を使って振れる場面では、長く持ったラケットの遠心力を利用しやすくなります。ベースラインから深さやスピードを出したいときには有利です。

ラケットを長く持つ4つのデメリット

1.動かし始めと方向修正が難しくなる

長く持つほど、ラケットヘッドは手元から遠くなります。準備が遅れたときや予想と違うボールが来たときに、面の向きを直す余裕が小さくなります。

2.速いボールに振り遅れやすい

リターンやボレーのように反応時間が短い場面では、長さが負担になることがあります。大きく引いてしまう人ほど、打点の遅れや詰まりが起こりやすくなります。

3.芯を外したときにラケットを支えにくい

手元から遠い位置でボールの衝撃を受けるため、先端側やフレーム付近で打ったときにラケット面がぶれやすくなります。長く持つ人ほど、毎回の打点とスイートスポットの再現性が必要です。

4.極端に長く持つと支えが不安定になる

小指がグリップから大きく外れるほど長く持つと、支えられる面積が減り、手の中でラケットが動きやすくなります。まずは数ミリの調整にとどめ、滑りや握り込みが増えないか確認してください。

ラケットを短く持つ4つのメリット

1.ラケットを操作しやすい

短く持つとラケットヘッドが手元に近づき、同じラケットでも動かしやすく感じます。テークバックが遅れたときや、打つ方向を直前に調整したい場面で助けになります。

2.コンパクトなスイングを作りやすい

リターン、ボレー、ライジングなど、準備時間が短いショットと相性がよい持ち方です。ラケットを大きく引かず、相手のボールの勢いを利用して返しやすくなります。

3.面の向きを安定させやすい

ラケットヘッドが近いぶん、手元の小さな調整を面へ反映させやすくなります。強打よりも、コースや高さの再現性を優先したい場面で使いやすい特徴です。

4.重いラケットを扱いやすくできる

重量そのものは変わりませんが、短く持つと振ったときの負担は小さく感じやすくなります。「ラケットの打球感は好きだが、試合後半に振り遅れる」という人は、買い替える前に試す価値があります。

ラケットを短く持つ4つのデメリット

1.リーチが短くなる

遠いボール、高い打点、サーブでは、短くした分だけ届く範囲が狭くなります。数ミリなら差は小さくても、追い込まれた場面ではその差が出ます。

2.ヘッドスピードの上限を下げる可能性がある

実質的なラケットの長さが短くなるため、同じ回転速度ならラケットヘッドの移動速度は下がります。ただし、短くしたことで速く振れる場合もあるため、実際のボール速度は打って比べないと分かりません。

3.打点が身体に近くなりやすい

今までと同じ足の位置で打つと、ボールとの距離が近くなります。短く持ったのに詰まる場合は、グリップではなく打点へ入る位置も調整してください。

4.両手バックでは握る場所が窮屈になることがある

両手を一緒に上へずらすと、上の手がスロート側へ近づきます。ハンドルが短いラケットや手が大きい人は、無理に短くすると両手の収まりが悪くなることがあります。

ショット別のおすすめ位置

  • サーブ・スマッシュ:基本位置〜やや長め。高い打点とヘッドスピードを生かせる範囲で持つ。
  • グラウンドストローク:まず基本位置。準備に余裕があり振り切れるなら長め、時間を奪われやすいなら少し短めも試す。
  • リターン:基本位置〜やや短め。相手サーブが速いほど、コンパクトさを優先する。
  • ボレー:基本位置〜やや短め。遠いボールへのリーチとのバランスを確認する。
  • 両手バックハンド:両手が無理なく収まる位置を優先し、上の手が窮屈にならない範囲で調整する。

ショットごとに持つ位置を変えても構いません。ただし、毎回の持ち替えが遅れたり、位置がばらついたりするなら、得られるメリットより再現性の低下が大きくなります。

自分に合う位置を見つける10分テスト

いきなり1センチ以上変えるのではなく、次の3つを用意します。

  1. 現在の位置
  2. 現在より約5ミリ短い位置
  3. 現在より約5ミリ長い位置

それぞれで、通常のラリー、遠いボール、低いボール、速いボールを同じ本数だけ打ちます。評価するのは「いちばん速かった一球」ではありません。

  • スイートスポットに当たった割合
  • ネットとアウトの方向
  • 振り遅れや詰まりの回数
  • 遠いボールへ届いた後の面の安定
  • 10球打った後の手や腕の負担感

この5項目で最も崩れにくい位置が、現時点での基準です。フォアハンドだけで決めず、バックハンドやリターンも確認してください。

持つ位置とグリップの太さは別の問題

長く持つ・短く持つは手の位置、グリップサイズやテープの厚みは握ったときの太さです。オーバーグリップを重ねて太くすると、同じ位置でも指のかかり方や面の感じ方が変わります。

持つ位置を比較するときは、ラケットとグリップテープを同じ条件にしてください。テープ選びについては、セミドライタイプのオーバーグリップを使用したレビューも参考になります。

また、グリップの角をはっきり感じたい人は、レザーグリップの特徴と向いている人も確認してください。

よくある質問

初心者は短く持った方がいいですか?

最初は基本位置がおすすめです。ラケットが明らかに重く、毎回振り遅れる場合は少し短く持つ選択肢がありますが、ジュニアなら身体に合う長さ・重さのラケットかも確認してください。

長く持てばサーブは速くなりますか?

速くなる可能性はありますが、保証はありません。長く持ってもスイングが遅くなったり、打点がずれたりすれば逆効果です。速度だけでなく、入る確率とコースの再現性を一緒に比べてください。

試合中に持つ位置を変えてもいいですか?

問題ありません。相手のサーブが速いときだけ少し短く持つなど、目的が明確なら有効です。ただし、無意識に毎回位置が変わっている状態は、面の再現性を下げる原因になります。

あわせて読みたい関連記事

まとめ|基準は「長さ」ではなく、再現できるか

長く持つとリーチとヘッドスピードの可能性が広がり、短く持つと操作性と反応のしやすさが高まります。ただし、どちらの利点も、その位置でスイートスポットへ繰り返し当てられることが前提です。

プロ選手の小指の位置や「長く持つ方が飛ぶ」という常識だけで決めず、まずは5ミリ単位で比べてください。いちばん派手な一球ではなく、苦しい場面でも崩れにくい位置が、あなたに合う持ち方です。

経験と理屈、ときどき感性。最後は、自分の手とボールの結果で決めましょう。

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