テニスの戦術は時代とともに変わります。しかし、勝つための考え方には、何十年たっても変わらない部分があります。
今回読み返したのは、1969年に刊行された『オーストラリア式テニス』(ジャック・ポラード編、竹内醸治訳)です。古本屋で1,000円ほどで買った、かなり年季の入った一冊ですが、読み返すたびに発見があります。
ロッド・レーバーら当時の一流選手が章ごとに考え方を語っており、技術の形だけでなく、試合をどう組み立てていたのかが分かるのがこの本のおもしろさです。
昔の本なのに、なぜ今も参考になるのか
用具やプレースピードは大きく変わりました。それでも、相手に時間を与えないこと、確率の高い選択をすること、パートナーを生かすことなど、試合の土台は今も同じです。
特に印象に残ったのが、コリン・ロングが解説するダブルスの章でした。内容をそのまま長く引用するのではなく、現代のプレーに置き換えて要点を整理します。
今も通用するダブルスの基本7つ
1.自分が決めるより、パートナーが決めやすい球を作る
ダブルスは個人競技を二人で行うのではなく、二人で一つのポイントを作る競技です。足元へのリターンや深いボレーなど、次の一球をパートナーが決めやすくするショットには、エースと同じ価値があります。
2.相性は「強い者同士」より「補い合えるか」で考える
良いペアは、得意な展開や性格が完全に同じとは限りません。前で動く人と後ろから組み立てる人、勢いを作る人と冷静に整える人など、お互いの長所が噛み合うかが重要です。
3.ダブルスではファーストサーブの確率を優先する
速さだけを求めてファーストサーブの確率が落ちると、相手はセカンドサーブを狙って前に入れます。8割程度の力でも、コースと回転を使って高い確率で入れたほうが、前衛も動きやすくなります。
4.リターンは、まず相手にもう一球打たせる
強いリターンを一本決めることより、低く確実に返し続けるほうが相手サーバーには圧力になります。狙いすぎてミスを重ねるより、相手の足元やセンターへ返し、次のボールで優位を取る考え方です。
5.最初のボレーはセンター深くが基本
いきなり角度をつけると、自分たちのコートにも角度が生まれます。最初はセンター深くへ返して相手の選択肢を減らし、甘くなった次のボールで角度をつけるほうが安全です。
6.高い打点では攻める。ただし力まない
サービスボックス内でネットより高い位置から打てるなら、攻撃する場面です。ただし「強く打つ」と「雑に打つ」は別物。相手のいない場所へ、面を安定させて押し込むことを優先します。
7.ロブとテンポの変化も立派な攻撃
深いロブは、相手をネットから下げて優位な陣形を崩します。速い球だけで押すのではなく、ロブ、足元への球、テンポの変化を混ぜ、相手が気持ちよくプレーできない状況を作ることが大切です。
実戦で試すなら、まずこの3つ
- 試合前に「最初のボレーはセンター」など、二人で一つだけ約束を決める
- リターンはエースより、相手の足元へ低く返すことを優先する
- 試合後は自分の決めた本数だけでなく、パートナーが決めやすい球を何本作れたかを振り返る
全部を一度に変える必要はありません。一つだけ決めて試すと、ダブルスが「二人で点を取る競技」だと実感しやすくなります。
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まとめ
古い本だから内容も古い、とは限りません。むしろ用具や流行に左右されにくい「試合の考え方」が、はっきり書かれている本もあります。
経験と理屈を行き来しながら、自分の試合に使える形へ落とし込む。『オーストラリア式テニス』は、その練習になる一冊でした。



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